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<title>EGO　GRAM　WORKS</title>
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<description>特に今日と決めたのは、　空　青いから</description>
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<title>95％</title>
<description> 「…そろそろ、いい頃だな」前々から思っていたこと。実際に口に出してみると、一気に現実味が増す。アメリカでの生活も、板に付いた。叔父のコネを使って入り込んだこっちの会社でも、今となっては信頼を得、なかなかの仕事を任されるようになってきた。あの確率屋の時ほど大きな仕事では、まだないが。笑う。あの事を考えると、無謀だったと思う。根拠のない自信だったと今は思う。課長の言うことは確かに正しかった。アメリカに
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<![CDATA[ 「…そろそろ、いい頃だな」<br />前々から思っていたこと。実際に口に出してみると、一気に現実味が増す。<br />アメリカでの生活も、板に付いた。叔父のコネを使って入り込んだこっちの会社でも、今となっては信頼を得、なかなかの仕事を任されるようになってきた。<br />あの確率屋の時ほど大きな仕事では、まだないが。<br />笑う。<br />あの事を考えると、無謀だったと思う。根拠のない自信だったと今は思う。<br />課長の言うことは確かに正しかった。アメリカに来て学んだことではあるけれど。<br />過去のデータは重要、だが、それに即していれば即売れると言うわけではない。<br />客のニーズを正確に捉えなければ、モノは売れない。そのためには、《お客さんを第一に考える》課長の考えが、必須だったのだ。<br />そして、その考えをおざなりにした俺は、失敗した。<br />その借りを、今こそ返す時だ。<br /><br />「叔父さん」<br />「ん？」<br />「ちょっと、日本に借りを返しに行きたいので、三ヶ月程お暇をもらってよろしいでしょうか？」<br />「…あの失敗か？」<br />「はい。社長と約束しているので」<br />「…今は他社との競り合いも厳しい時期だぞ？無茶を言うな」<br />「無茶は承知です」<br />「却下だ。…ところで雄介」<br />「はい？」<br />「今のアメリカ国内での日本文化について、どう思う？」<br />「…叔父さん？」<br />「答えなさい」<br />「…確かに今もサムライやニンジャといった日本の文化は根強い人気ではありますが…流行は去ったのでは？」<br />「流行は作り出すものだ。第二次日本ブームが起きるのはそう遠くない。そのためには…取材をしなけりゃならんな？」<br />俺は、叔父さんが言いたいことを悟った。笑う。<br />「そうですね。その取材は、現地の言葉や習慣に詳しい人に行ってもらえれば効率がいいのではないでしょうか」<br />「日本の出版社と情報交換ができれば効率よく情報も集まるだろうが…果たしてそんな都合のいい人材が、わが社にいるかどうか…」<br />ニヤリ、と二人で笑う。<br />「私が行きますよ、社長。私は出版社にコネクションもありますし、日本は生まれた国です」<br />「おお、行ってくれるか。それでは小諸雄介、君に明日より三ヶ月間日本の現地取材を命ずる。随時連絡を絶やさぬよう」<br />「分かりました、社長。ありがとうございます」<br />二人して、笑った。<br /><br />「おーう浅田くん、ハワイ旅行はどうやった？」<br />「あ、課長。とてもよかったですよ」<br />「ハワイかー、いいなぁ、俺海外にはあんま行ったことないねん…アメリカやろ？ええなぁ…」<br />「アメリカとハワイはほとんど別物ですよ。でも…アメリカかぁ…」<br />「思い出すなぁ、小諸くんのこと」<br />「そうですねぇ…元気でやってるのかしら」<br /><br />プルルルルルルルルルル<br /><br />「はいこちら商品企画一課です」<br />『…千沙？』<br />「…雄介？雄介なの！？」<br />「なんやと！？」<br />『ああ、俺だよ。小諸雄介、本物だ』<br />「ちょっと、元気なの？」<br />『ああ、ピンピンしてる』<br />「もしもし！小諸くんか！」<br />『あ、課長。お久しぶりです。相変わらずですね』<br />「当たり前やがな。どうや、そっちは」<br />『いい調子ですよ。それで、今度そちらに伺おうと思ってまして』<br />「なんやて？」<br />『今度こちらの会社で日本についての記事を書くことになりまして、良かったらお互いの情報を交換でもしないかと思いまして』<br />「…借りを返しに来るんやな？」<br />『そうですね。そんなところです』<br />「あい、分かった。部長やらにも話通しとくから、色々あるやろうけど、頑張ってな」<br />『それでは、私はこの辺で…飛行機の時間なので、また後ほど』<br />ぶつっ、と電話が切れた。<br /><br />「雄介、ここに来るんですか？」<br />「みたいやな。今となっては後輩やらもできたけど、あの頃の三人がここに揃うってわけや！」<br />「楽しみですね。懐かしいです」<br />「んじゃ、俺らも仕事頑張るか。あいつがおらんでも俺らでなんとかして来たのを見せてやらな」<br />「私が初めて特集組んだ雑誌もありますしね」<br />「小諸くんのより全然売れたアレか？あれ見せたら悔しがるで」<br />「だからちょっと見せ付けてやりたいんですよ」<br />「ははははは」<br /><br />『緊急ニュースです。アメリカから日本へ着陸予定だったジャンボジェット機が故障のため空中で炎上、太平洋へ墜落した模様です。<br />日本とアメリカを結んでいるせいもあり、多くの日本人が搭乗していたとの情報が入っています。詳しくは情報が手に入り次第お伝えします』<br /><br />《もう、帰って来ないでしょう。その確率、95％と出ていますから》 ]]>
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<dc:subject>前略。</dc:subject>
<dc:date>2007-04-23T11:19:17+09:00</dc:date>
<dc:creator>ＧＲ∀Ｗ</dc:creator>
<dc:publisher>FC2-BLOG</dc:publisher>
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<title>三章のいち  ～とりあえずの平穏</title>
<description> 　あたしは、とぼとぼ、という音が聞こえるみたいに肩を落として、歩いていた。　二人は近くにいない。アイは気絶したまんま保健室に置いてきたし、しーちゃん(もう名前は忘れた)はあのとき消えて、帰ってこない。　帰ってこなきゃいいのに。　…別に、あたしも鬼じゃない。正当な理由で、子供らしくお願いされたら、子供二人を家に一泊ぐらいさせてあげたのに。　…でも、よりによって、あんな。　あんな、非現実的な二人組。　嘆息
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<![CDATA[ 　あたしは、とぼとぼ、という音が聞こえるみたいに肩を落として、歩いていた。<br />　二人は近くにいない。アイは気絶したまんま保健室に置いてきたし、しーちゃん(もう名前は忘れた)はあのとき消えて、帰ってこない。<br />　帰ってこなきゃいいのに。<br />　…別に、あたしも鬼じゃない。正当な理由で、子供らしくお願いされたら、子供二人を家に一泊ぐらいさせてあげたのに。<br />　…でも、よりによって、あんな。<br />　あんな、非現実的な二人組。<br />　嘆息。<br /><br />「…なんで、あたしなんだろう…」<br /> 最初に思ったのはそれだった。 他にも一杯人はいた。同じクラスの窓際にだって、８人ぐらい。それにあたしのクラスって決まってるわけじゃあるまいし。他のクラスだって、違う学年だってよかったはず。 この学校じゃなくてもよかったのに。この町じゃなくてもよかったのに。 なんで、よりにもよって。<br /><br />「…こんな普通の、背ちっさい胸もちっさい女子高生なんて選ばなくても…」<br /><br />「ほぉ～、誰に選ばれたのかなぁ？」<br /><br /> …。<br />　一瞬足を止めてしまったことを後悔しつつ、また歩きながらヒトリゴトを再開する。<br /><br />「あーあ、さっさと帰ってテレビ見よ、シュークリーム一個とっといたんだよね…」<br />「無視か」<br />「ぁ、そーいえば今日ご飯なんだろう…なんかスゴくビールが飲みたい気分…」<br />「未成年だろ、バカ。あんな苦いもの飲む奴の気がしれないしな」<br />「未成年はお互い様。味知ってるそっちの方が問題じゃない？」<br />「お前は知らないのかよ。なのにビール飲みたいとかバカだろ。バーカ」<br />「うっさい、ネネ。ちょっと大人の気分に浸りたいあたしの気持ちを分かれ」<br />「ねおんだ、バカ。のんだくれめ」<br /><br />　ようやく、あたしが振り返る。 そこにいるのは、同じクラスの女子、美留町音音。ビルマチネオン、と読む。絶対に一発で解読不能な名前を持つ彼女は、身長175cmの、すらっと大きくて目立つ女の子だ。 目立つ、って言っても派手なわけじゃない。ネオンっていう割りには黒の長髪と落ち着いたルックスの持ち主なんだけど、その独特な雰囲気と毒舌、さらには眼光が音音を近寄りがたい存在にしてる。 ぁ、あたしはこいつのことをネネって呼んでる。毎回わざわざ訂正して面白いから。<br /> まぁ、今はそれどころじゃないね。<br /><br />「で、そのバカは一体何を悩んでいるんだ恋する乙女バカ」<br />「語呂が悪い。却下。とりあえずあんたが考えてることは99％間違いだから消えて」<br />「知ってるか？バカ。人間ってのは１％の可能性に賭けるものなんだよ！」<br />「じゃあ命でも大金でも賭けて下さい。負け分はわたくしがありがたく頂戴します」<br />「…急に敬語になるな、気持ち悪い」<br /><br />　こんな、どーでもいい会話。 少し笑って、ようやくあたしは自分のペースを取り戻してきた。<br /><br />「で、ネネはなんでこんなとこにいんの？家逆でしょ？」<br />「ねおんだ。なんか手紙で呼び出されてな。中央公園の大型ブランコに16時」<br />「…また果たし状？」<br />「そうそう、今度こそ雌雄を決しよう…ってんなわけあるかいバカモン」<br /><br />　しっかりノリ突っ込みだ。<br /><br />「らぶれたーだよ、相変わらず。しかも筆跡も相変わらず女。参ったね…」<br />「ネネはそこらの男より男らしいからねー」<br />「ねおんだっつーの。まったく、めんどくさい…」<br /><br />　めんどくさい、といいつつもちゃんと待ち合わせに言ってあげるところが音音のいいところだと思う。なんだかんだ言って、優しい。<br />　問題と言えば、<br /><br />「私はアンタ以外に興味はないんだけどねぇ…」<br /><br />　問題発言を連発するところかな。<br /><br />「…誤解を生む発言すんなっていってるでしょぉー？」<br />「本気だって言ったら？」<br />「蹴る殴るなどの暴行を加えた上、スマキにして川に流した疑いが持たれるぐらいボコる」<br /><br />　途中までアナウンサーちっくに。<br /><br />「つーれなーいなぁー」 へっへっへっ。<br /><br />　怪しく笑う音音を見てると、友達を止めようかと思うコトがある。<br />　全く、あたしもなにを好きこのんでこんな奴の親友なんてやってんだか。<br /><br />「相変わらずエンジン全開ね…」<br />「お陰様でな。ところでバカ、聞こうと思ってたことを思い出した」<br />「何？レズ」<br />「ねーおーんーだっつの」<br />「…そんならあたしは《バカ》じゃないでしょ…」<br />「それは知らん。とにかく、あれだ」<br /><br /><br /><br /><br /><br /><strong>「あの子供二人は、一体なんなんだ？」</strong><br /><br /><br /><br />　…ぉぉぅ。 忘れてた。そういえば同じクラスの人は見てなきゃおかしいよね。<br />　…いや、忘れてたかっただけなのかも。<br /><br /><br /><br />「まぁ…気にすんなってことで」<br />「無茶を言うな、バカ」<br />「…やっぱ気になるよねぇ…」<br /><br />　教室に飛び込んで来てあたしを連れ去ったんだもん。気にするなってのも無理な話。<br />　嘆息。<br />　同時に音音が言う。<br /><br /><br /><br /><br />「当たり前だ。<strong>いつの間に魔法使いの友達を持ったんだ？</strong>」<br /><br /><br /><br /><br />　…ん？<br /><br /><br /><br />「…今、なんて？」<br />「…耳悪くなったか？りぴーとあふたーみー、バカ」<br />「やっぱいいわ。それより…魔法使いの友達…って、あいつらのこと？」<br />「他に受け取れる文脈か？」<br /><br />　ぅ、冷たい対応。<br /><br />「…まぁ、ね。でも、なんでいきなり魔法使い？」<br />「だって魔法使ったじゃんか、みんなの前で」<br /><br />　そう言いながら、音音は手で拳銃を形作る。<br /><br /><br />「『ばぁーん』って言いながら、さ」<br /><br /> ]]>
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<dc:subject>AI反する二つのISHI。</dc:subject>
<dc:date>2007-02-21T22:06:00+09:00</dc:date>
<dc:creator>ＧＲ∀Ｗ</dc:creator>
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<title>ソラユメ　壱　～視線～</title>
<description> ──なぁ、知ってるか？また行方不明者が出たってよ。──知ってるよ。噂では、校内で殺し合いでも起こってるんじゃないかって噂だし。──それを警察が必死で隠蔽してるって？でもよぉ、人が死んだのを親族にまでそうそう隠せるもんじゃないだろ？──分からないよ。そこらは噂だし。でも、一人だけ死人として発表されてるじゃないか。ほら、なんていったっけ、あのしかめっ面…。　深蓮高校は、盆地の上にある目立つ高校だ。　成績優秀、
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<![CDATA[ <blockquote><p>──なぁ、知ってるか？また行方不明者が出たってよ。<br />──知ってるよ。噂では、校内で殺し合いでも起こってるんじゃないかって噂だし。<br />──それを警察が必死で隠蔽してるって？でもよぉ、人が死んだのを親族にまでそうそう隠せるもんじゃないだろ？<br />──分からないよ。そこらは噂だし。でも、一人だけ死人として発表されてるじゃないか。ほら、なんていったっけ、あのしかめっ面…。</p></blockquote><br /><br /><br /><br /><br />　深蓮高校は、盆地の上にある目立つ高校だ。<br />　成績優秀、文武両道、甲子園には毎年出ている、知る人ぞ知る名門校だ。<br />　しかし、今は別の意味で目立っている。<br />　その理由が、行方不明事件である。<br />　『深蓮の終焉』または、『終焉』とだけ呼ばれるこの事件は、今やマスコミの好き放題に操られ、冒頭のような噂も出ている。<br />　しかし、行方不明者が大量発生しているのも事実なのだ。<br />　しかも、姿を消したのは、今のところ深蓮の関係者のみ。<br />　今まで、二十一人の生徒、二人の教師、合計二十三人もの人間が、行方知れずになっているのだ。<br />　そして、二次災害も起こっている。<br />　今日元気だった友達が、明日になったら消えているかもしれない、という疑念にかられた生徒達が、学校外で問題を起こしているらしいのだ。<br />　当然のことながら評判は落ち、『深蓮』の名が示すものは、負の印象だけになっていた。<br />　そして、そこに通っている俺、七三木朝光――なみきともみつは、いつもと変わらぬ通学を、自転車で走り抜けていた。<br />　丘の上にある深蓮に行くには、上り坂を登らなくてはならないのだが、いかんせんこちらの方が早い。<br />　なにより、帰り道が楽だ。<br />　だから、いつもの通学路を、いつもと違う時間に、いつもより急いで駈け登った。<br /><br />　からぁん、からぁん、と、教会のベルがなる。<br />　深蓮は、キリスト教を重んじている高校で、広い敷地内には、かなり大きな教会がある。<br />　そして、そのベルが告げるのは始業か終了のどちらかなのだが──この場合は後者である。<br />「全教科終了ーっ！やったぁ、これで遊べるぅー！」<br />　隣の席の女子、月舘緋瞳――つきだてひとみが、ペンを投げ出すのが見える。<br />「お前はいつでも遊んでるじゃねーかよ…」<br />　と突っ込むと、<br />「ふーん、だ！今回は頑張ったもん！」<br />　と、ない胸を張った。<br />「その台詞、毎回のように聞いてる。で、結局点数はいつも通りだろ」<br />「う、うるさいな！今日遅刻してきた奴に言われたくないよっ！」<br />「遅刻して一教科抜けたってお前に負ける気はしないしな。六教科対九教科で勝負してやってもいいぞ。負けた方は勝った方に五百円オゴリな」<br />「…ぅ…そ、そんなハンデつけてもらっても嬉しくも何ともないよ！」<br />「じゃあハンデなしで賭けするか？五万賭けてもいいぞ」<br />「…ぁ、ぅ…」<br />　どもる緋瞳に、さらにからかうような、別の声がかかった。<br />「やめときなって。緋瞳じゃどーやってもこいつにゃ勝てねーよ」<br />　どかっ、と俺の机に座り込んだそいつは、三鳥川正輝――みどりかわせいき。軽薄、という言葉が驚くほど似合う人間だ。<br />　反論する緋瞳。<br />「あ、言ったなー？ボクだって本気を出せば…」<br />「だから、そーゆーこと言うならまず赤点から脱出しろって。平均点以下の緋瞳が、学年トップの朝光に勝てるわきゃーねーよ」<br />「…ぅぅ…」<br />　図星を刺されて何も言えない緋瞳の後ろに、すっ、と人影が現れた。<br />　それは緋瞳の背後から抱き付いて、こう言った。<br />「私は緋瞳に賭けてあげてもいいよ？」<br />　その台詞に、緋瞳は心底嬉しそうな顔をする。<br />「ホント!?ありがと南美ちゃん！」<br />　緋瞳に体重をかけるようにのしかかっているそいつ、虎姫南美――とらひめみなみは、続けて言った。<br />「まぁ、五十円ぐらい？」<br />　安っ、と緋瞳がうなだれる。<br />　まぁまぁ、と頭をぽんぽん叩きながら南美は言う。<br />「安いもんよ、緋瞳のためなら五十円ぐらい…」<br />「…ヒメ。それ、間接的に緋瞳が負けるって言ってるのと同じだぞ？」<br />　ヒメ、というのは、南美のことだ。無論、名字から一文字取っただけのこと。こう呼んでいるのは俺だけだが。<br />「ぁ、それもそうか。うーん、じゃあ清水の舞台から飛び下り自殺するぐらいの気持ちで──」<br />「…意味が変わってない上に悪化してるぞ、それ。死んでどーすんだ」<br />「ははは、緋瞳がどんどん沈んでってるぞ。おもしれー！」<br />「…あんたら、ボクで遊んでない？」<br />　俺が、「…まぁ、」と音頭を取ると、<br />「「「当然」」」と、三人の声が見事にハモった。<br />「…もういいよ」<br />　諦めたようにうなだれる緋瞳。<br />　毎テスト後に行われる『恒例行事』に、笑いが起こる。<br />　まぁ、これがいつものノリだ。<br />　このメンバーは、『日本文化研究部』の部員である。<br />　部員四人、つまり先輩も後輩もなく、同じクラスのこの四人だけの小さな部である。<br />　しかし、それは同時に監視が少ないことも意味するので、好きなことばかりしていられる、自由極まりない部でもある。<br />　だから、だれも部員を増やそうと思わないし、減らそうとも思わない。<br />　気ままな部活、というのが一番合っているかもしれない。<br />「まぁ、そこから先は部室で話しましょ。掃除の人達の邪魔になるだろうし」<br />　そう提案するのは南美だ。<br />「そうだね。ここだと落ち着かないし。──ほら、行こう、ともくん」<br />　ともくん、というのは、緋瞳が俺を呼ぶ時の呼び名だ。<br />「あぁ。でもな、俺、掃除だから」<br />「…お前、今まで俺らとだべってたじゃねぇか。いいのか？」<br />「いいわけねぇだろ。だからあいつらの視線が怖いんだよ。ほら」<br />　親指で示すと、みんな納得した。<br />　この学校は、そんなに厳しい学校でもないのだが、サボりについては、みんなの視線が痛い。<br />　なぜなら──<br />「まぁ、がんばってね。私たちは先に行ってるから」<br />「ん」<br />　無骨な返事をして、扉から出ていく三人を見送り、ようやく無作為に箒を動かし始める。<br />　<br />　サボりに厳しい原因、それは──他でもない、『終焉』である。<br />　授業の合間の休み時間にいなくなった場合も少なくないとかで、ただ保健室に行っただけなどでも、その時間中の緊張感はハンパではないとか。<br />　俺はどちらかと言うとサボる方なので知らないが。<br /><br />「…ん？」<br />　気付けば、掃除をしていた人達がいそいそと掃除道具を片付け始めていた。<br />　みんな、行方不明者が多発している校舎に長居したくはないらしい。<br />　そんなことを考えている間に、いつのまにやら俺以外の全員が教室から出ていってしまった。<br />　まだ箒を持っている俺は、そのあまりの素早さに驚きながらも、はぁ、と溜め息をついてから、自分も帰る準備を始めた。<br />　箒をしまい、テスト用紙を鞄に入れて、その鞄を肩にかける。<br />　そこで気付く。ちゃっかり俺の机の上に教室のカギが乗っていることに。<br /><br />──どこの誰だか知らないけど、用意周到な奴だな──<br /><br />　しょうがないか、とカギを手にとり、ぱちん、と電気を消した。<br />　廊下に出る。そこにはもう、人っ子一人いなかった。<br />　掃除係と同じ理由で、早く帰ったのだろう。もっとも今日は試験最終日である。帰りたい奴はさっさと帰り、部活がある奴は今もう勤んでいる頃だ。校舎に残っているのは俺ぐらいだろうか。<br />　つまり、怖い物知らずも俺ぐらい、という事だ。<br />　カギ穴にカギをくわえ込ませ、回す。かちり、と機械的な音を立て、扉が口を閉ざした。<br />　カギについたわっかに指を通して、くるくると回しながら、職員室に向かう。<br />　カギを職員室に返さないと、後でどんなクレームをつけられるか分からないから。<br />　一階の職員室にたどり着き、引き戸を開ける。<br />「しつれーしまーす」<br />　失礼丸出しな声で形だけの挨拶をして、中に入った。<br />　と、<br />　教師は、一人もいなかった。<br />「いいのか？こんな日にこんな無防備加減は…」<br />　たぶん採点は家でやることにして、とっととトンズラしたんだろう。意気地のない大人だ。<br />　担任の教師の机ももちろんもぬけの殻だったので、その上にカギを放置することにする。<br />　ここから持ってかれて何をされようが俺は知らんぞ、という意を込めて。<br />　そのまま職員室を出る。誰かのテストがあるかもと考えなかったこともないが、別に知っても何の得にもならない。<br />　あるとしたら緋瞳との賭けの結果だが──あいつが俺に勝つようなことは、天地がひっくり返っても有り得ない。<br />　たまにはひっくり返るぐらいの点を取って欲しいものだが。<br />　いつも通りいけば、あいつは夏休み中ずっと補習と追試に追われる日々だろう。<br />　はぁ、と自分の事のように溜め息をつく。<br />──もうちょっとあいつにも知能がつくといいんだがなぁ…<br />　そのまま校舎を出て、部活棟に向かう。<br />　渡り廊下を渡って、砂利道を通り、そのまま、明らかに古ぼけた木造の部活棟に入る。<br /><br /><br />──いや、<br /><br />　　　入ろうと、して、足を止めた。<br /><br /><br /><br />　違和感に気付いたのだ。<br /><br /><br /><br />　人が、誰も、いない。<br /><br /><br /><br />　その場、だけではない。<br />　校庭にさえ、いない。<br />　部活をやっている時間のはずなのに。<br />　それに、なにより。<br /><br />　音が、しない。<br /><br />　人間の話し声が聞こえない。<br />　木々のざわめきが聞こえない。<br />　虫の鳴き声が聞こえない。<br />　<br />　そう。<br />　ここにいる俺以外の物から、全く音がしないのだ。<br /><br />　耳が痛くなるほどの、静寂。<br />　なんか変だ、と思った。少なくとも、目の前にある建物には、俺の知っている三人がいるはずなのに。<br />ここからは、気配がしない。<br /><br />　いや、してはいけないのかもしれない。<br /><br />　こんなトコロは、いつもの部活棟では有り得ないのだから。<br /><br />　こんなトコロは、いつものセカイでは有り得ないのだから。<br /><br />　じゃあ、俺は──？<br /><br /><br /><br />　その時。<br /><br />　視界の端に、何か動く物が、入った。<br /><br /><br />　ばっ、と振り返ると、それと同時に、すっ、と物陰に『それ』は隠れた。<br />　一瞬だけ見えた『それ』は、俺に驚き以外の感情を植え付けるのに、十分な威力を持っていた。<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />　<i>部活棟の端から、覗き込むように見つめてくる、一つの顔。</i><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />　普通なら、驚くだけだっただろう。<br />　しかし、<i>こんなトコロ</i>で<i>そんな動き</i>をするモノが、まともなモノであるはずがなかった。<br /><br /><br /><br />　恐怖。<br /><br /><br /><br />　初めて、本物の『恐怖』というものを、感じた、気がした。<br />しかし、それはまだ俺にとって未知のものであり、受け入れようとはしなかった。<br />　そして、受け入れられないそれを取り去るために、今物陰に引っ込んだ『それ』を確かめる必要が、俺にはあった。<br />　じわ、と体全体に広がる、震え。<br /><br />　一歩、前に踏み出す。ざり、と驚くほど大きな音で鳴る足下の小石に、思わず視線を落として、<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />　<i>自分の足を後ろから掴んでいる、真っ白い手に気付いた。</i><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />「うわぁぁぁ！」<br /><br /><br />　思わず飛び上がると、その腕は簡単に外れ、<i>ひゅるん</i>、と俺の視界の外に消えた。<br />　その腕を目で追って、急いで振り返っても、そこには何もなかった。<br />　一息つこうとして、気付いた。<br />　気付いてしまった。<br /><br />　今度は部活棟の反対側の端から顔を出している、『<i>それ</i>』に。<br /><br />　びくん、と、確かな、今度こそ確かな『恐怖』を覚えた。<br />　『それ』の眼球が、こちらをじっと見ている。<br />　今度は、引っ込まない。ただ、血走った二つの眼球が、俺を捕らえていた。<br /><br />　動け、ない。<br /><br />　声を出さなければ、と頭が思っていても、体に力が入らない。できることと言ったら、目を逸らすことぐらいしか──<br /><br /><br />　そこで、俺は、<br />　異様なモノを見た。<br /><br /><br />　眼球。<br /><br /><br />　二つではない。所狭し、とでも言うかのごとく、窓の縁には、無数の眼球があり、<br /><br />　一つ残らず、こちらを見ていた。<br />　それだけではない。<br /><br />　気付いたら、そこら中に『それ』はいた。<br /><br />　草むら、木の陰、屋根の上。<br />　共通点は、全ての眼球が、俺を注視しているということだ。<br />　まずい、と思った。<br /><br />──何をされるのかは知らないが、『こいつら』は、少なくとも俺に害を与える──！<br /><br />しかし、眼球に囚われた身体は、言うことを聞かない。<br />そして、ふとまた視線を落として──<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />体中に、何本もの真っ白い腕が絡み付いているのを見た。<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />そして。<br /><br />一つの手のひらが、ぽん、と肩の上に置かれた。<br /><br /><br /><br />「うわぁぁぁぁぁぁぁ！」<br /><br /><br /><br /><br /><br />俺は、今度こそ、恐怖の叫び声をあげた。<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />「──とも、くん？」<br /><br />　しかし、次の瞬間聞こえてきた声は、聞き慣れたものだった。<br />「──ぇ？」<br />　思わず振り返る。<br />　そして、気付く。体に巻き付いていたあの腕が、いつの間にか無くなっている事に。<br />　そして、聞こえた。校庭で騒ぐ声、木々のざわめき、蝉の鳴き声。<br />──戻って、きた？<br />　あの、無音の世界から、元の場所へ。<br />　そして、それを証明するかのように、驚いた顔をして、手を引っ込めたような体勢の、<br />「──緋瞳？」<br />「ど、どうしたの？声かけても無反応だったし…。それに、」<br />　自分の手と俺を見比べながら。<br />「なんか、いきなり叫んで…。そんなに肩痛かったの？」<br />──どうやら、緋瞳が肩を叩いたおかげで、こちらに戻って来れたらしい。<br />　心底、よかった、と思った。<br />　『あいつら』に捕まっていたら、今頃どうなっていることか。<br />「…ああ、なんでもない」<br />　無理に怖がらせることない、と思い、こう言った。<br />　しかし、緋瞳は納得しない。<br />「なんでもないわけないよっ！どうしたの？」<br />「なんでもねぇって。気にすんな」<br />「やだ。ねぇ、なにがあったの？教えてよ」<br />「なんでもねぇ。なんでもねぇんだよ…」<br />「そんなの、何かあったって言ってるのと同じだよっ！」<br />「うるせぇっ！」<br />　ざく、と砂利を蹴る。<br />「…お前には関係ない。…きっと、俺にも関係ないことだ。俺は気にしないことにするから、お前もそうしろ。いいな？」<br />「──」<br />　緋瞳は、頷かなかった。<br />　しかし、俺はそのまま、部活棟に向かう。<br />　こいつは、何を言っても効果がないことが分かっているから。<br />　入口に入ろうとして、足が、止まった。<br /><br /><br /><br />　脳裏に浮かぶのは、部活棟の窓にへばりついていた、無数の眼球。<br /><br /><br /><br />　ぶん、と頭を振って、浮かんだ光景を切り離す。<br />　あれが、夢の類いだとは思えない。思いたくはあるが、そうとは思えない感触が、肌に残っている。<br />　あの伸びる手を思い出して、鳥肌が立った。<br />　冷たく、少し湿っているように思えたそれは、無理に拘束する気配がないくせに、いつの間にかこちらを捕まえていて、じわじわと心ににじり寄って来る。<br />　駄目だ、と思う。思い出すだけで、『恐怖』に喰われそうになる。<br />　思い切って、部活棟の中に足を踏み入れた。<br />　どうせ『あいつら』はいつ、どこにでも現れる事ができるのだろう、という直感があった。ならば、対処法を知らない限り、避ける手段はない。おそらく、どこにいてもあの『手』は伸びてくるのだろうから。<br /><br />　大体、なぜ俺にあんな――コトをしたのか、わからなかった。<br /><br />「ほら、緋瞳、いくぞ」<br />　外で俯いたまま動かない緋瞳に、声をかける。<br />　すると緋瞳は、<br />　<br />「──」<br /><br />　何かを、ぼそり、と呟いてから、無言で俺の横を通り抜け、すたすたと先に行ってしまった。<br />　言った事も、大体分かっている。<br />　でも、俺も無言で、緋瞳の背中を追った。<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />　これが、あいつらとの、初めての接触だった。<br /><br /><br /><br />　壊れていく。<br />　　　　　　　　　　　喰われていく。<br /><br /><br />　セカイを。<br /><br /><br />　ジブンを。<br /><br />　<br /><br />　救うための、時間の始まり。 ]]>
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<dc:subject>ソラユメ。</dc:subject>
<dc:date>2006-12-24T19:32:54+09:00</dc:date>
<dc:creator>ＧＲ∀Ｗ</dc:creator>
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<title>ソラユメ　序　～眼。～</title>
<description> ──。何かなぁ、と思う。『それ』は、いつのまにやら俺の目の前に現れて、きらきらと光っていた。俺は『それ』に手を伸ばす。すると、ふわ、と『それ』は手の届かないところに行ってしまう。だからと言って手を引っ込めると、ふわ、と元の場所に戻ってくる。手を伸ばす。離れていく。引っ込める。近付いてくる。その、繰り返し。『それ』の瞬きに目を奪われながら、『それ』に翻弄される。何なんだろう、これは。──。　むくり、と体
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<![CDATA[ <blockquote><p>──。<br />何かなぁ、と思う。<br />『それ』は、いつのまにやら俺の目の前に現れて、きらきらと光っていた。<br />俺は『それ』に手を伸ばす。<br />すると、ふわ、と『それ』は手の届かないところに行ってしまう。<br />だからと言って手を引っ込めると、ふわ、と元の場所に戻ってくる。<br />手を伸ばす。離れていく。<br />引っ込める。近付いてくる。<br />その、繰り返し。<br />『それ』の瞬きに目を奪われながら、『それ』に翻弄される。<br />何なんだろう、これは。<br />──。</p></blockquote><br /><br /><br />　むくり、と体を持ち上げる。<br />　ぽりぽり、と頭をかきながら、冴え切らない視界を彷徨わせて、呟く。<br />「…また、この夢か…」<br />　物心ついた時から延々見続けてきたこの夢は、最近明らかに頻度が増してる。<br />　『それ』が何なのかは、分からない。何年かかっても。<br />　だから、気にしない事にしていた。<br />　たん、とベッドを降りる。<br />　フローリングの部屋から出て、廊下を通り、リビングに向かう。<br />　ふぁ、と欠伸をしながらリビングを通り過ぎ、キッチンにある冷蔵庫を開た。<br />　紙パックの牛乳を取り出し、その口から直接飲む。<br />　ぷはぁ、と息をついて、ようやく一息ついた気分になった。<br />　あの夢を見た日は、大抵疲れが取れていない。取れていたとしても、眠りが深すぎるのか浅すぎるのか、目覚めが悪い。<br />　今日も、例外ではなかった。<br />　スティック型のパンを口に咥えてリビングに戻り、テレビを点ける。<br />　その前にあるソファに座り、もきゅもきゅと口を動かしながら、テレビの起動を待った。<br />　そして、そこから流れてきた音声に驚く。<br />「こんにちは。午前八時五十五分になりました。ニュースをお伝えします。えー、『終焉』と呼ばれている…」<br />　九時ではないのがミソだ。<br />　ちなみに今日は休日でもなんでもない。どちらかと言うと正反対の日に当たる。<br />　期末テストの日である。<br />「…まずっ…！」<br />　いつもそんなに真面目なわけではないが、さすがにこの日に遅刻するのはまずいと思う。<br />　これで分かっただろ？あの夢を見た日は、眠りが深すぎるから目覚めが悪いんだ、ということが。<br />　んなこと考えてる場合じゃない。<br />「…警察は、行方不明者たちを捜索するとともに…」<br />　テレビの無機質な声が響く。しかし、そんなことに気を回している場合ではない。<br />　急いで部屋に戻り、パジャマから着替える。<br />「…何か大きな組織が関わっているのではという見方を強めて…」<br />　ワイシャツのボタンを留め、肩にネクタイをかけて、ブレザーを羽織る。<br />「…親族たちは、やり場のない怒りと悲しみを…」<br />　リビングに戻り、喋り続けるテレビの声を、リモコンで強制的に中断させた。<br />　ぶつり、と画面の女性の顔が消える。<br />　そのことを確認する間も無く、玄関に走っていき、誰もいないマンションの一室に、声を張り上げた。<br />「──いってきます！」<br /><br />　ばたん、たっ、たっ、たっ…<br /><br />　その音は、次第に遠ざかっていき、やがて聞こえなくなった。<br /><br /><br />　そして。<br /><br /><br />　ぱつん、と、誰もいないリビングに、小さな音が響いた。<br /><br />　じじ、ばつ、ざぁ──。<br />　テレビの起動を告げる、音が鳴った。<br />　しかし、そこには女性のアナウンサーの顔はなく。<br /><br />　ただ。<br /><br /><br /><br /><br />　<i>ぎょろり</i>、とした、大きな眼が、映し出されていた。<br /><br /><br />　<br /><br /><br />　それは、ぎょろ、と一通り回りを見回した。<br />　まるで、部屋の中を物色するかのように。<br />　そして、その眼は、ふと、一定の場所で止まった。<br />　その視線の一直線上には、窓の外にとまった小鳥が、あった。<br /><br /><br /><blockquote><p>──。<br />何も、起こらなかった。<br />小鳥の目から、力が失われたこと以外は、何も。<br />──。</p></blockquote><br /><br /><br /><br />　ぱつん、と音を立て、画面から眼が消え失せた。<br />　何も、起こらなかった。<br />　ただ、窓の外で、小鳥が一羽、地面に落ちて、死んでいた。<br /><br />　ただ、それだけ、だった。<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />→ ]]>
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<dc:subject>ソラユメ。</dc:subject>
<dc:date>2006-12-24T19:10:56+09:00</dc:date>
<dc:creator>ＧＲ∀Ｗ</dc:creator>
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<title>二章のに～絶。最悪から滅びへ～</title>
<description> 「土地の質ってものは、そこに棲んでいる生物の質で決まる。樹齢ウン百年の大木があるとこだったり、生きた化石だとかが生息してるところは評価が高い証拠だ」「そいつらに、残す価値があるってこと？」「それもある。でも何よりその種族が生きてる間に《破滅》が訪れなかった証拠になる」「…《破滅》？」「俺達が、『要らない』と判断した生物や土地は、時を待たずに滅んでいくんだよ。自然な壊れ方をしながらな」「…自然な、壊れ
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<![CDATA[ 「土地の質ってものは、そこに棲んでいる生物の質で決まる。樹齢ウン百年の大木があるとこだったり、生きた化石だとかが生息してるところは評価が高い証拠だ」<br />「そいつらに、残す価値があるってこと？」<br />「それもある。でも何よりその種族が生きてる間に《破滅》が訪れなかった証拠になる」<br />「…《破滅》？」<br />「俺達が、『要らない』と判断した生物や土地は、時を待たずに滅んでいくんだよ。自然な壊れ方をしながらな」<br />「…自然な、壊れ方…？」<br />「そう。<blockquote><p>例えば火山の噴火。例えばダムの決壊。例えば台風。例えば竜巻。例えば伝染病。例えば大火災。例えば大震災。例えば飢饉。例えば津波。例えば原爆。例えば戦争。例えば空襲。例えば爆撃。例えば虐殺。例えば乱獲。例えば隕石の直撃。例えば氷河期。例えば地球の温暖化。</p></blockquote><br />　全ては神の御心のままに。<br />　<blockquote><p>焼かれ、溺れ、病に倒れ、潰され、吹き飛ばされ、斬られ、銃弾を喰らい、爆風を喰らい、放射能を喰らい、狩り、狩られ、殺し、殺され、うだり、凍え、蹂鱗し、蹂鱗され、殺戮し、殺戮され、知らず生物を殺し、知らず人間を殺し、知らず自分を殺し、知らず世界を殺していく。絶対絶体絶命絶世絶滅絶叫絶望絶大絶壁絶食絶句絶句絶句まさに絶景。</p></blockquote><br />　嗚呼、全ては神の御心のままに」<br /><br />かははははははははははははははははははははははははははははははははは<br /><br />　そう言って、けたけたと笑う少年。<br />　嫌悪感を感じざるを得ない、絶対的な《死》そのものが笑っているような…そんな、<br />　錯覚ではない真実。<br /><br />　改めて思う。<br />　ああ、こいつはニンゲンじゃないんだ、と。<br /><br />「ま、怖がらせるのはこのへんにしよーか。とにかく、俺たちに目をつけられたモノがぽこぽこ壊れてくって考えればいいわけ。わかった？」<br /><br />　ころっ、と元の調子に戻る。<br />　全く…本当に単純で、無垢で、残酷なんだろう、こいつらは。<br /><br />「わかったけど…つまりさ、あれだよね？」<br />「なに？」<br />「あんたの機嫌損ねたら、あたしもころっと死んじゃうかもしれないってことでしょ？」<br />「んー、まぁそうだな。むしろ」<br />「むしろ？」<br /><br /><br /><br /><br /><br />「下手に俺たちをいじめたりするとー、<br /><blockquote><p>　　　　　　　　　　　　　<strong>この町ごと滅びちゃう</strong></p></blockquote>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　って可能性のほうが高いから気をつけてねー」<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />　ぇーっと、それはつまり？<br /><br /><br /><br /><br /><strong>「あたしの行動次第で？」<br /><br />「この町の命運が決まるってことだな」</strong><br /><br /><br /><br /><br /><br />　ま、せーぜーがんばってよ、じょしこーせーちゃん。<br /><br /><br /><br /><br />　そうのたまって、<br /><br />　　　諸悪の根源は、宙にくるっと舞って、一旦消失した。<br /><br /><br />　足元で、もう一匹の諸悪の根源が昏倒しているけど。<br /><br /><br /><br />　それを見下ろしているあたしは、この町まるまるひとつの命を抱えた爆弾。<br /><br /><br />　現実味を帯びない時間が、余計に夕陽を際立たせてた。<br /><br /><br /><br /><br />　とりあえず、最悪の放課後は夕暮れに沈んで、<br /><br />　　　　　　　　　　　　　　　滅びの夜が、始まろうとしている。 ]]>
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<dc:subject>AI反する二つのISHI。</dc:subject>
<dc:date>2006-12-23T01:45:36+09:00</dc:date>
<dc:creator>ＧＲ∀Ｗ</dc:creator>
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<title>二章のいち　～ほろびのぷれりゅーど～</title>
<description> 「…ん…？」　奇妙な眩しさに目を撃たれて、目を覚ました。「………ん？」　目を覚ました、というのはつまり、自分は今まで眠っていたわけだ。「ん。……ん～？」　それはいい。しかし、いつ眠っただろう。思い出せない。「ん………………」　えっと、さっき授業終わって…「あ」ぁ゛。思い出した。　起き上がる。そこは、周りを囲むカーテンの中のベッド。　あの二人が手の込んだことをするとも思えないから、たぶん保健室だろう、と予測。　そ
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<![CDATA[ 「…ん…？」<br /><br />　奇妙な眩しさに目を撃たれて、目を覚ました。<br /><br />「………ん？」<br /><br />　目を覚ました、というのはつまり、自分は今まで眠っていたわけだ。<br /><br />「ん。……ん～？」<br /><br />　それはいい。しかし、いつ眠っただろう。思い出せない。<br /><br />「ん………………」<br /><br />　えっと、さっき授業終わって…<br /><br />「あ」<br /><br />ぁ゛。思い出した。<br /><br />　起き上がる。そこは、周りを囲むカーテンの中のベッド。<br />　あの二人が手の込んだことをするとも思えないから、たぶん保健室だろう、と予測。<br />　それにしても…まったく。最悪の目覚めだ。<br />　何が目ざわりって、<br /><br />「…あんたら、なにやってんの」<br /><br />　カーテンの隙間からこっちに向けて発せられる光だ。<br /><br />「ぴかーん、かいちゅ～でんと～」<br />「起きたか妖怪め！この俺が成敗し」<br /><br />　この時点で枕を投擲。<br /><br />「てやおぅふ」<br /><br />　見事に顔面にヒット。<br />　…ナイスコントロール、あたし。<br /><br />「…どっちが妖怪よ、まったく…」<br /><br />　言ってから、自覚する。こいつらは、おかしい。いろいろと。そりゃそーなのだ。<br />　金と銀の翼を持つ、少なからず《人外》なのだから。<br /><br />「…あたし、どうしてたの？」<br /><br />　それを聞いて、枕の直撃を受けた――確か、シイル、だったか――男の子の方は、指を指して笑った。<br /><br />「俺たちの羽根にびっくりして気絶してたんだよばーか。ざーこ。ちーび」<br />「黙れガキ」<br /><br />　手元に投げるものがないので、目で殺す。<br />　一瞬ひるんだが、シイルはまた背中から翼を出して、「ばぁ～！」とかやってる。<br /><br />　ウザいから黙殺。<br /><br />「で、あたしはどうしてたの？…ぇっと、アイコ、だっけ？」<br />「ゎゎゎ、覚えてたんだ！えらいえらい！」<br /><br />　なでなで。<br /><br />　ウザいから撲殺。<br /><br />「きゃぅ！」<br /><br />　チョップは、どうやら効くらしい。ぃゃ、そりゃそーか。枕も当たるんだし。<br /><br />「で、あたしはどうしてたの？アイコ」<br /><br />　あたしの誠意(という名の睨み)が通じたのか、アイコは涙目で話し始めた。<br /><br />「アイコじゃなくてアイって呼んで欲しいな。最初の自己紹介でも言ったしさ」<br />「分かった、アイ、ね。で、あたしが気絶してたってのは本当？」<br />「うん」<br /><br />　途端、シイルが爆笑し始める。…さて。<br /><br />「アイ」<br />「ん？」<br />「懐中電灯貸して」<br />「？うん」<br /><br />　途端、シイルが静まり返る。察しのいい奴め。<br /><br />「さ、続き」<br />「ぁ、うん…気絶はしてた。でも、びっくりしてたのもあるだろうけど、私としーちゃんの空気に当てられたってゆーのが大きいと思う」<br />「…空気？」<br />「そう。私としーちゃんはここの世界の生き物じゃないからさ、周りの空気も私たちの世界のに変えなきゃ生きてけないの」<br />「…酸素不足、みたいなもん？」<br />「そそ、そんな感じ。それに、ぁーゅー「契約」めいたことをするときはさ、同じ世界にいっぺん引き込まなきゃいけないから、どーしてもね」<br /><br />　なるほど。<br /><br />　ってちょっと待て。<br /><br />「…あんた、あたしと契約なんてしたの？」<br />「ぁ…」<br />「どうなの？」<br />「…ぁ、ぃゃ…」<br />「答えなさい」<br />「…ぇ…ぇへ♪」<br /><br />　ウザいから、撲殺。懐中電灯で。<br />　ぼぐっ、と生々しい音が鳴って、へにゃん、とベッドに倒れこむアイ。<br />　…どーせ死にゃしないでしょ。《生と死を司る神》だし。<br /><br />「で、そこんとこどーなのよ。《しーちゃん》」<br /><br />　すっかり怖じ気づいたもう一人の《生と死を司る神》に話を振る。<br /><br />「…しーちゃんって呼ぶな。俺はシイルだ」<br />「そうね。あたしの納得いく答えを聞かせてくれたらそう呼んであげる。で？」<br />「ことわ」<br /><br />　懐中電灯を振りかざす、フリ。<br />　そのフェイントに、びっくぅ、と効果音が鳴るほどいいリアクションをした《しーちゃん》に、聞き直す。<br /><br />「で？」<br />「……しょうがないな…」<br /><br />　極秘事項だぞ、とあたしに前フリをする。<br /><br /><br /><strong>「俺たちは、この町の《寿命》を決めにきたんだ」</strong><br /><br /><br /><br />「…《寿命》？町に寿命なんてあんの？」<br /><br />「あるさ。<br />その町に火がついて焼け野原になっても、それは町の寿命。<br />その町に地震が起こって全てが潰れても、それは町の寿命。<br />その町に地割れが起きて全てが沈んでも、それは町の寿命。<br />――滅びないものはない。<br />しかし、有益なものは生かすべきだし、世界に対してガンになるようなものなら早めに排除しなきゃならない。<br />そして、町というものは、その町に住む人々によって変わってくる。<br />それを確認するのが、俺たちってわけ」<br /><br />「…つまり…」<br /><br /><br /><br /><strong>「つまり、この町が、いつ滅びるべきかを、俺たちは見定めに来たんだよ」</strong><br /> ]]>
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<dc:subject>AI反する二つのISHI。</dc:subject>
<dc:date>2006-12-04T01:24:10+09:00</dc:date>
<dc:creator>ＧＲ∀Ｗ</dc:creator>
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<title>一章のさん　～二対の翼～</title>
<description> 　そのまんま物凄い力で階段の踊り場まで引きずられて、そして今に至る。　というわけで――回想、終わり。「はぁ…」　嘆息。　気付けばチャイムも鳴ってもう放課後だし。「とりあえずさ…あんたらどっから入ってきたの？」「ん？」「どゆこと？」「なんか、最近犯罪対策とかなんとかで門ガッチリガードされてんの。それをこーんなちびっこが…」「ちびっこじゃねぇよ、ちび」　無視。「こーーんなミニマムちびっこが入ってこれるわけ
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<![CDATA[ 　そのまんま物凄い力で階段の踊り場まで引きずられて、そして今に至る。<br />　というわけで――回想、終わり。<br /><br />「はぁ…」<br /><br />　嘆息。<br />　気付けばチャイムも鳴ってもう放課後だし。<br /><br />「とりあえずさ…あんたらどっから入ってきたの？」<br />「ん？」<br />「どゆこと？」<br />「なんか、最近犯罪対策とかなんとかで門ガッチリガードされてんの。それをこーんなちびっこが…」<br />「ちびっこじゃねぇよ、ちび」<br /><br />　無視。<br /><br />「こーーんなミニマムちびっこが入ってこれるわけないの。もしかして先生の子供？親は？」<br /><br />　それを聞いて二人は、<br /><br />「子供？親？」<br />「何言ってんの？おねーさん」<br /><br />　本当に分からない、という顔をした。<br /><br />「…違うの？んー…んじゃ、家はどこよ？この辺の子でしょ？」<br /><br />　それを聞いて、キョトンとする二人。<br />　そして、ゆっくりとお互いを見合ってから、納得したように頷いて。<br /><br />　ニカッ、と笑った。<br /><br /><br />「そういえば」<br />「まだ説明してなかったね」<br /><br /><br />　そして、あたしに向き直る。<br /><br /><br /><br />　その笑顔は、なぜかあたしに――<br /><br />　　　　　　　　　　　　　　　　　　　《恐怖》を、与えてきた。<br /><br /><br /><br /><br />「私たちには親なんていないわ」<br />「だから《子供》という概念もない」<br /><br /><br /><br /><br /><br />『　　　　　だって、　　　　　　　　　　人間じゃないんだから　　　　　　　　』<br /><br /><br /><br /><br /><br />　二人はあたしを挟みこむように、少しずつ距離を詰めてくる。<br />　思わずあとずさる。<br /><br /><br /><br />「あんたたち…何…いってんの？」<br /><br /><br />　平静を装うが、主導権を握っているのはあたしじゃない。<br />　二人の気味悪いほどの笑顔が、それを物語る。<br /><br /><br /><br />「それに、俺達がどこから来たか、だって？」<br />「嗚呼、それは貴方の命の源」<br />「貴方から最も近く」<br />「貴方から最も遠い場所」<br /><br /><br />　二つの笑顔は、天衣無縫――完璧すぎて、人間のものではない――そんな、完璧すぎる表情だった。<br />　普通の人間は、したくてもできない表情。<br />　<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />　なら。<br /><br /><br /><br /><br />　こいつらが普通の人間ではないのなら。<br /><br /><br /><br /><br /><br />　<strong>こいつらがヒトではないのなら、一体なんだっていうんだろう？</strong><br /><br /><br /><br /><br /><br />　呪文のように紡ぎ出される言葉達。<br /><br /><br /><br />――<strong>これが呪文ではないのなら、一体なんだっていうんだろう？</strong><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />「此の天より来たりて」<br />「彼の地より来たりて」<br />「救い」<br />「裁き」<br />「殺め」<br />「生み出す」<br /><br /><br /><br />　　　　　『全能神の御名において』<br /><br /><br /><br />「タナトスとエロス」<br />「命を司る二つの神の化身」<br /><br /><br /><br /><br />　瞬間、<br /><br /><br /><br />　<strong>二人の背中が弾け飛ぶ。</strong><br /><br />　　　　　　　　　　　　　　　　<strong>そして、その下から。</strong><br /><br /><br /><br /><br /><strong>　　　　金色の　　　　　　禍々しく<br /><br />　　　　　　　　　　翼が、　　　　　煌めいた。<br /><br />　　　　白銀の　　　　　　仰々しく</strong><br /><br /><br /><br />「アイコと」「シイル」<br /><br /><br /><br />翼が、踊る。羽が、舞う。二人が、笑う。<br /><br /><br /><br />『今、此処に、審判の日、来る』<br /><br /><br /><br /><br />　宙に浮かぶ、二人。<br /><br />　この時にして、ようやくあたしは、とんでもない事態に巻き込まれ始めていることに気付いた――<br /><br /><br /> ]]>
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<dc:subject>AI反する二つのISHI。</dc:subject>
<dc:date>2006-12-03T23:46:38+09:00</dc:date>
<dc:creator>ＧＲ∀Ｗ</dc:creator>
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<title>一章のに　～一時の回想～</title>
<description> 　あれは、授業中だった。　別に、集中して聞いてたわけじゃない。どちらかというと、完全に上の空だった。　シャーペンを動かすでもなく、頬杖をついてなんとなく教室を眺めていた。　あたしの席は窓際。ぽかぽかするひなたは、絶好の昼寝スペース。　その証拠にあたしの前に座ってる三人は、みぃんなうつ伏せになって動かない。――はぁ…あたしも寝ようかなぁ…　そう思いながら、ふっと窓際を見た時だった。――なんだ、アレ？　窓の
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<![CDATA[ 　あれは、授業中だった。<br />　別に、集中して聞いてたわけじゃない。どちらかというと、完全に上の空だった。<br />　シャーペンを動かすでもなく、頬杖をついてなんとなく教室を眺めていた。<br />　あたしの席は窓際。ぽかぽかするひなたは、絶好の昼寝スペース。<br />　その証拠にあたしの前に座ってる三人は、みぃんなうつ伏せになって動かない。<br /><br />――はぁ…あたしも寝ようかなぁ…<br /><br />　そう思いながら、ふっと窓際を見た時だった。<br /><br />――なんだ、アレ？<br /><br />　窓の縁に沿ってゆっくりこっちに動いてくる、黒い玉。人の頭のようにも見える。<br />――ってゆーか人の頭だ。近付くにつれて確信を持つ。ベランダを誰かが歩いている。<br />　辛うじて顔が見えない高さをキープしながら、その頭はあたしの隣に来て、――止まった。<br /><br />――ぇ？<br /><br />　次の瞬間、窓がガラッと開いて。<br /><br />「おっはろ～ん！」<br /><br />　黒い玉が、あたしに向かって飛び出して来た。<br /><br />――<br /><br />　女の子だ、と判断するのに三秒かかった。<br />　ってゆーか思考が止まってた。いきなり至近距離５センチのところに顔が出現したもんだから。<br /><br />「ぁ、おっはろーんってゆーのはね、おはよーとはろーを組み合わせた新しい挨拶なの！」<br /><br />　そう言いながらさらに距離を詰めてくる。推定２センチ。<br />　いや、聞いてないし。近いし。<br />　後ろに下がるとその分前に乗り出してくる。満面の笑みで。<br /><br />「私はアイって言うの！あなたのお名前なんてーの？」<br /><br />　周りから「誰？」「何アレ…」とか聞こえる。<br />　あたしが聞きたい。<br />　その時、反対側からドアがガラッと開く音がした。<br /><br />「おい、アイ！見付けたならもたもたしないで連れてこいっつったろ！」<br /><br />　今度は、男の子の声。<br /><br />「ごめ～ん、しーちゃん」<br /><br />　女の子の顔が、離れる。<br />　あたしの緊張も解け、ふぅ、と息をついて振り返った。<br />　次の瞬間。<br /><br />「しーちゃんって言うな。ほら」<br /><br />　いきなり男の子に腕を、がしっと掴まれた。<br /><br />「行くぞ」<br />「おっけー」<br /><br />　がしっ、ともう片方の腕を女の子が拘束する。<br /><br />「…ぇ？ぅわぁっ！」<br /><br />　そして、子供とは思えないほどの力で引っ張られる。<br />　席から引きずり下ろされ、そのまま廊下まであっという間に連れていかれてしまった。<br /><br />「な、なななななにすんのよ！」<br />「ぉー、ホントにどもる人って初めて見たかもー」<br /><br />　うっさい。<br />　冷静なあたしなら突っ込んでただろうけど、その時は完全にテンパっててそれどころじゃなかった。<br /><br />「ちょ、ちょっと待ちなさい！」<br /><br />　硬直してた先生が、ようやく動き出す。<br />　しかし、男の子は落ち着いて言った。<br /><br />「ちょっと借りますよー」<br /><br />　平然と言うその態度に、教室が静まりかえる。<br />　それを見て、男の子は満足そうに手を拳銃の形に構えて、笑った。<br /><br />「ばぁーん」<br /><br /><br /> ]]>
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<dc:subject>AI反する二つのISHI。</dc:subject>
<dc:date>2006-11-16T10:19:35+09:00</dc:date>
<dc:creator>ＧＲ∀Ｗ</dc:creator>
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<title>一章のいち　～二人の要求～</title>
<description> 「…はぇ？」　変な声を出してしまった。「うん。分かった？そーゆーことだから！」「というわけでこれから三日間、よろしくな」「ぇ、あの、ちょっと待って？」『？』と二人揃って首をかしげるが、実際首をかしげたいのはこっちの方だ。　あたしは軽く頭を抱えるようにして少し考えてから、訊き返した。「要するに、こう言いたいわけだ。…寝床がないから家を貸せと」「そーゆーことだね」「まぁ、用事がちゃっちゃと済めばもっと早
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<![CDATA[ 「…はぇ？」<br /><br />　変な声を出してしまった。<br /><br />「うん。分かった？そーゆーことだから！」<br />「というわけでこれから三日間、よろしくな」<br />「ぇ、あの、ちょっと待って？」<br /><br />『？』と二人揃って首をかしげるが、実際首をかしげたいのはこっちの方だ。<br />　あたしは軽く頭を抱えるようにして少し考えてから、訊き返した。<br /><br />「要するに、こう言いたいわけだ。…寝床がないから家を貸せと」<br />「そーゆーことだね」<br />「まぁ、用事がちゃっちゃと済めばもっと早く済むからさ、頼むわ！」<br /><br />　ぁー、とあたしは頷く。<br /><br />「却下」<br /><br />　ちょっとした沈黙ののち。<br /><br />『ぇー…』<br /><br />「ぇーじゃない！なんで見ず知らずの怪しい二人組にいきなり寝床を提供しなきゃなんないのよ！」<br />「私たち、怪しくないもーん」<br />「そーだそーだ、さっき名乗ったし」<br />「名乗ったから信用してあげるーなんて簡単に行くほどこの世の中は甘くないの！まったく…」<br /><br />　ぱっと見中学生だかなんだか…小学生の高学年あたりに見える二人組。<br /><br />「大体、あんたら自分の家があるでしょ！家出なんて中学生にはまだ早い！帰んなさい！」<br /><br />　それに、こいつらは鼻で笑う。<br /><br />「ちゅーがくせー？あんた、俺たちを何歳だと思ってんの？」<br />「用事も済ませないうちに帰ったら逆に怒られちゃうよーだ」<br />「たかがこーこーせーに家出が早いなんて言われたくねーよ、すねかじり」<br />「これは任務なの！に・ん・む！あなたたちのアルバイトなんかよりじゅーよーなの！」<br /><br />　いや、舌足らずの口調でそんなこと言われても。<br />　訂正、喋ると小学生にしか見えない。ムキになり方とか特に。<br /><br />「ぁーもー、とにかくあたしのことは諦めて、他を探しなさい！」<br />「だってさー」<br />「ちょーどいいんだもん」<br />『ねー』<br /><br />　ねー、じゃねぇよ。<br />　突っ込んでから、溜め息。<br />　もー嫌になってきた…なんでこんなことに…なったんだっけ？<br />　あたしは、突然に混沌とし始めた放課後に、思いを馳せ始めた。<br /><br /><br /> ]]>
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<dc:subject>AI反する二つのISHI。</dc:subject>
<dc:date>2006-11-05T01:26:56+09:00</dc:date>
<dc:creator>ＧＲ∀Ｗ</dc:creator>
<dc:publisher>FC2-BLOG</dc:publisher>
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<title>序章　～街を見下loss二人組～</title>
<description> 「…うん、間違いない。こっちからだね！」「ああ。間違いない。この、鉄の錆びたような匂い…」「呼んでるよ。私たちを」「ああ。呼んでるな。俺たちを」　吹き抜けるビル風。風上を向いて、二人が言う。　見下ろす先は、輝く街。立つ位置は、高層ビルの、屋上。　見かけは十代の二人組は、本当に楽しそうにその先を見た。「どっちを選ぶのかな？」「さぁな。知ったこっちゃない」　にしし、と笑って。「そいつの自由だ」「だね♪」
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<![CDATA[ 「…うん、間違いない。こっちからだね！」<br />「ああ。間違いない。この、鉄の錆びたような匂い…」<br />「呼んでるよ。私たちを」<br />「ああ。呼んでるな。俺たちを」<br /><br />　吹き抜けるビル風。風上を向いて、二人が言う。<br />　見下ろす先は、輝く街。立つ位置は、高層ビルの、屋上。<br />　見かけは十代の二人組は、本当に楽しそうにその先を見た。<br /><br />「どっちを選ぶのかな？」<br />「さぁな。知ったこっちゃない」<br /><br />　にしし、と笑って。<br />「そいつの自由だ」<br />「だね♪」<br /><br />　跳んだ。<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> ]]>
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<dc:subject>AI反する二つのISHI。</dc:subject>
<dc:date>2006-11-05T00:41:35+09:00</dc:date>
<dc:creator>ＧＲ∀Ｗ</dc:creator>
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